今回は超話題のNetflixオリジナルシリーズ『呪怨:呪いの家』(7月3日より全世界配信)を取り上げたいと思います。オリジナルビデオと劇場版の『呪怨』シリーズは、大ヒットし、ハリウッドでリメイクされるほどの人気ホラーになりました。

呪われた悪霊の母子、伽椰子と俊雄は、『リング』の貞子に負けない人気キャラに。その『呪怨』が日本発のNetflixオリジナルシリーズとして復活! 1話30分で全6話となっております。ラジオCMが怖すぎるとの噂ですが、さて本編は! では物語から。

【物語】

心霊研究家の小田島(荒川良々)は、オカルト番組で共演したタレントのはるか(黒島結菜)が体験した怪奇現象に興味を持ち、彼女に近づきます。

同じ頃、転校生の聖美(里々佳)は、猫屋敷と呼ばれる空き家で残酷な体験をすることに。6年後、ソーシャルワーカーの有安(倉科カナ)は虐待児童を救おうとある空き家へ。そこは聖美が残酷な経験をした家であり、二組の夫婦の血まみれの惨劇が起こった場所でした……。

【直視できない怖さを体験!】

劇場版の『呪怨』1作しか観てないのですが、本作はオリジナルビデオと劇場版の『呪怨』をコンプリートしていなくてもOK。これまでの『呪怨』シリーズの前日譚的な物語なので、ビギナーでも十分楽しめる作品になっています。

で、怖かったかどうかですが、めちゃくちゃ怖かったです! 今回の配信はシーズン1で全6話なのですが、物語が進むにつれて、どんどん描写がエグくなっていくんですよ。もう後半は場面によっては観ていられないほどで、顔を背けたり、目を覆ったりしながら観ていました。怖すぎてエグすぎて直視したら夜眠れなくなりそうだし、生活に支障をきたすと思ったんです!

【すべての不幸は呪いの家から始まる】

心霊研究家の小田島は「呪いの家で何があったのか」を解き明かしていく役回りなのですが、彼の過去もその家に関係しています。はるかの婚約者が「ふたりの新居探し」で、その家に足を踏み入れて以来、様子がおかしくなったり、ある夫婦が住み始めた途端、様子がおかしくなるなど、その空き家に関わった人はみんな不幸になっていく……。

「じゃあ、そんな家に行かなきゃいいじゃん」と思うかもしれませんが、そこがこのドラマの上手さ!それぞれの人物が自然とその家に足を運ばざるを得ないように物語は進んでいきます。そして物語が進むにつれて明らかになる空き家の過去……。発端は「女性がある男に監禁されたのち、赤ん坊を生んだ」という事件。その怨念が住みついているのか、この家に関わった人間は、同じような恐怖を共有していくのです。

【実在した事件を登場させて怖さを増長】

また恐怖のアクセントとして効いているのが、ときどき挿入される実際に起った事件の数々です。女子高生コンクリート詰め殺人事件、連続幼女誘拐殺人事件、神戸連続児童殺傷事件、地下鉄サリン事件など、80~90年代に起った日本の犯罪史に残る事件が、ニュース映像という形で映し出されます。

それだけでもゾワゾワするのに、連続幼女誘拐事件や妊婦切り裂き事件と似たような犯罪がドラマの中で起こるのです。これらがドラマと現実をつないでくれちゃうので、余計怖いんです!

【実は人間がいちばん怖い?】

また『呪怨:呪いの家』は、家に住み着いた悪霊が空き家にやってくる人々を恐怖に陥れますが、やって来る人々も実は問題を抱えているように見えます。人間の悪意、嫉妬、歪んだ欲望などの「悪」がこの空き家を「呪いの家」にしている……。フィクションの世界に収まり切れない恐怖があるのです。

【『リング』の脚本家が再び恐怖を呼ぶ!】

元ネタの『呪怨』は清水崇監督の出世作ですが、本作の三宅唱監督はホラー系の監督ではありません。『きみの鳥はうたえる』などの人間ドラマでTAMA映画祭新進監督賞などを受賞した注目の監督。

脚本は『呪怨』シリーズを監修し、『女優霊』『リング』の脚本を手掛けた高橋洋氏。この二人のタッグですから、人間ドラマとしての見応えもありつつ恐怖描写も手加減ナシ! ちなみに1話約30分、全6話3時間くらいなので一気に鑑賞できます。

ただ注意点として「妊婦さんにとっては、おすすめできない映像が登場するので要注意!」ショック度が高いので、これだけは言っておきたいと思います。

執筆:斎藤 香 (c)Pouch

Netflixオリジナルシリーズ『呪怨:呪いの家』(全6話)
監督:三宅唱
脚本:高橋洋、一瀬隆重
出演:荒川良々、黒島結菜、里々佳、長村航希、岩井堂聖子、井之脇海、テイ龍進、松浦祐也、土村芳、柄本時生、仙道敦子、倉科カナ
配信:2020年7月3日(金)、Netflixにて全世界独占配信
http://www.netflix.com/ju-on_origins