オムツ替えや沐浴(もくよく)、寝かしつけなど育児に積極的にかかわる男性は昔より増えているかとは思いますが、授乳は母親に偏りがち。だって、哺乳ビンでミルクをあげることはできても、男性がおっぱいをあげるのは不可能なことだから……。

……と信じきっていた私ですが、その前提がくずれる日が来たのかも。これからは男性も赤ちゃんにおっぱいをあげられる時代になると言ってよいかもしれません。

広告代理店・電通がアメリカで開催されたイベント「SXSW2019(サウス・バイ・サウスウェスト2019)」で発表したのは「FATHER’S NURSING ASSISTANT(ファーザーズ・ナーシング・アシスタント)」なるアイテム。その名のとおり、父親のための授乳・寝かしつけデバイスなんです! でも、男性が授乳だなんて、どうやってそんなことが可能なの?

【父親にも授乳ができないかという発想】

実は日本の赤ちゃんの睡眠時間は世界的に見ても短いという説があるそう。夜中に何度もおっぱいをあげたり、添い乳(横になった状態でおっぱいをあげながら赤ちゃんを寝かせること)をしたりで、母親に寝かしつけが偏ってしまい、肉体的にも精神的にも疲弊しきってしまうお母さんは少なくないと思います。

そこで、父親も授乳できるようになれないかという発想から生まれたのが「ファーザーズ・ナーシング・アシスタント」。母親の授乳以外の時間と、赤ちゃんの睡眠時間を増やすことを目指し作られたそうです。

【どんな仕組みになってるの?】

「FATHER’S NURSING ASSISTANT」の見た目は、男性が装着できる「疑似おっぱい」といった感じ。赤ちゃんが授乳時に手を胸に当てる習慣があることや、胸の柔らかさで安心感を持つという点に着目し、母親が授乳する状態に近いデザインになっているのだとか。また、赤ちゃんが安眠しやすいよう、体温に近い肌触りと温度も再現しているそう。

乳房部分は、片方がミルクタンク、そしてもう片方が授乳用に作られています。授乳用おっぱいにはシリコンらしき乳首がついており、それを吸って赤ちゃんはお乳を飲むみたい。男性が母乳を出すことはさすがに無理なので、粉ミルクや搾乳した母乳などをあげることになるかと思われます。

【アプリとの連携も可能】

そしてこちらのアイテムは、アプリと連携することで、ミルク量を可視化したり、ログとして保存も可能なのです!

さらに私が感動したのは、赤ちゃんが吸っている感覚を振動で父親にフィードバックできるという点。授乳の実感を父親も持つことができるだなんて素敵じゃないですか?

【ぜひ世の中に浸透してほしい!】

「我慢は美徳」をよしとしやすい日本人ですが、育児で我慢したほうがよいことなど、実はそんなにないように思います。体力的にも精神的にも少しでも親の負担が減るのであれば、その助けになるアイテムや方法はどんどん取り入れるべき。そこに愛情の深さは比例しません。

だからこそ、私は日本の会社が「母親に負担がかかりがちな授乳を男性もできるように」という考えを持ったことをとてもうれしく感じます。現時点は世界最大のクリエイティブ・ビジネス・フェスティバルにて発表されたという段階ですので、今後の展開についてはまだわかりませんが、今後は商品化して販売されたりするのでしょうか。

「ファーザーズ・ナーシング・アシスタント」のように、画期的なアイテムが世の中に浸透していくことを、子育て中の親の一人として心から願っています。

参照元:プレスリリースYouTube
執筆=鷺ノ宮やよい (c)Pouch

▼「FATHER’S NURSING ASSISTANT」紹介動画