ひとつの鉢の中に、自然の営みを凝縮する日本の伝統アート、盆栽。時を経て折れ曲がってもまだ青々と葉を茂らせ上へ上へと伸びようとする生命力、それをミニチュアな世界に閉じ込めて表現するこの超越的な園芸は、凄まじいものがあります。

そんな盆栽を無機質な鉄を使って見事に表現し、本物をも圧倒するような迫力ある作品が、クラウドファンディングサイト「Makuake」にありました。

自然の生命力を象徴する盆栽を、命を持たない「鉄」を使って人工的に作り出す……そんな究極の挑戦が、そこにはありました。

【本物に迫る美しさの”鉄筋盆栽”】

ひと目見ただけでは、本物かと見紛うほどに精巧に作り上げられた鉄筋盆栽。厳しい自然環境の中で生き抜く盆栽の生命力を、無機質な鉄を使い、人の手で再現する見事な作品です。

人工物であるがゆえに、本物ではありえない造形美や、枯れた幹が白色化した「舎利(しゃり)」と呼ばれる部分も、自在に作り出すことができます。

また、盆栽は生きているものゆえ、その時その時の美しさを楽しむものですが、鉄筋盆栽は美しい一瞬を半永久的にとどめておくことができるのも特徴。

自然物ではないため、飾る場所を選ばず、手入れの大変さもありません。自然の美しさを追求しつつも、そうした利点を活かし、インテリアや贈答品としても扱いやすいのが特徴です。

【命の無い鉄に命を宿らせる】

鉄筋盆栽を製作し、クラウドファンディングを実行するのは、北海道出身の平山淳一さん。実は平山さんは、現在胸膜腫瘍を患っていて、投薬と抗がん剤治療を続けているのだそう。

その生活の中で「盆栽が持つ生命力に勇気づけられ、盆栽のすばらしさを身をもって感じることができた」と、鉄筋盆栽を作り始めたきっかけを語っています。

無機質な鉄は、生命力という言葉からかけ離れているかもしれません。だからこそ、その鉄を使って盆栽を作りあげることで、そのあふれる生命力を最大限に表現できるのではないか、と。

そうして命を持たない鉄で作られた鉄筋盆栽には、確かに「新たな命」が宿っているように思えました。

【クラウドファンディングは現在も受付中!】

鉄筋盆栽を広めたい! そう願う平山さんのプロジェクトは、現在も支援を受け付けています。

力強い松や雑木の盆栽のほか、女性でも手に取りやすい草木盆栽もあり、その作品の幅もさまざま。

平山さんの挑戦と、鉄から生まれた見事な盆栽の数々。ぜひご覧になってみてくださいね。

参照元: Makuake
執筆=森本マリ (c)Pouch