パキスタンで生まれ育った24歳の女性・ナシュラ(Nashra Balagamwala)さんは、自分の経験をもとに “お見合い結婚から逃げるボードゲーム” を作成しました。

パキスタンを含む南アジア社会では、お見合い結婚という文化は非常にポピュラーなもの。多くの若い女の子が、家族が選んだ人と結婚するよう強制されるのが現実なのだそうです。

女の子たちの夫となるのは、社会的地位が高かったりお金持ちだったりする場合が多く、家の事情や、ビジネス的要素だけで結婚することになる場合もあるみたい。

【実体験をもとにしたゲームが注目を集めることに】

18歳のときお見合い結婚させられそうになったナシュラさんは、あの手この手で結婚を回避するべく奮闘した過去があります。

この体験をボードゲームにしたら、社会を変えることはできなくとも、議論する機会くらいは設けられるのではないか。

そんなひらめきを形に変えようと決意したナシュラさんは、ボードゲームの大手メーカー「ハスブロ」で働いていたキャリアを活かしてゲームを考案。クラウドファンディングサイト「Kickstarter」にプロジェクトを発足しました。

ボードゲームのアイディアは世の人々の心をつかみ、当初の目標額6000ドルの3倍を超える金額(約21000ドル)を集めることとなったのです!

【どんなゲームなの?】

ナシュラさん考案のゲーム「Arranged!」は、言うなれば “女性が自分らしい生き方をするための人生ゲーム” です。

プレイヤーは3~4人、コマとなるのは3人の女性(全員が主人公!)と、1人の仲人。仲人の目的は女性たちをお見合い結婚させることで、女性たちは仲人の手から逃れるためにさまざまな方法を取るのです。

お見合い結婚を回避するには「キャリアを持つ」「体重を増やす」といった方法があり、なかにはナシュラさんの経験も含まれています。

海外サイト「Mashable」がナシュラさんへ行ったインタビューによれば、ゲームを作る上で参考にしたのは、過去に自分で作った「お見合い結婚を避けるためのリスト」だそう。その中には「偽の結婚指輪をする」「日焼けする」「男友達と一緒に公共の場へ出かける」などがあって、実にリアリティがあります。

またゲームが進むと、「仲人が理想どおりの男性(Golden Boy)を紹介してくれる」パターンも出てくるそうで、これまたリアル。胸にトキメキを感じたら、今度は結婚に向かって大きく舵を切る場合もあるんですって。

【反発の声が挙がる一方で、女性たちからは感謝の声も】

「デザイナーになる」という夢を持って、18歳のときにパキスタンからアメリカに渡ったナシュラさんは、同時に「愛する男性を見つける」という夢を抱いていました。

ビザが切れたことで故郷に帰ることになりましたが、皮肉にも自分で考案したボードゲームがお見合い結婚のプレッシャーをやわらげてくれたと、ナシュラさんは「Mashable」に話しています。

女性たちが教育、キャリア、愛のある結婚を追求できるように、ゲームで力を与えたいと話しているナシュラさん。地元パキスタンの人々を中心に、反発の声も挙がっているようですが、パキスタンやインドの女性たちからは感謝の声もたくさん寄せられているそうです。

社会問題について考えながらも、純粋に遊びとして楽しめそうなこちらのゲーム。機会があれば、遊んでみたいものですね!

参照元:KickstarterMashable
執筆=田端あんじ (c)Pouch

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